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路地裏のあやかしたち―綾櫛横丁加納表具店2&3 行田 尚希

玉響通りにある綾櫛横丁を知っているだろうか。
木製の塀が両脇を囲み、足元は整然と敷き詰められた石畳の道。
ちょっとでこぼこしたその道を奥へと進むと、やがて木戸が見えてくる。
いつものようにその木戸を開けると、時代がかったような古めかしい二階建ての木造建築がある・・・。

路地裏のあやかしたち 綾櫛横丁加納表具店2&3 行田 尚希


読了です。

<2> 鎌鼬(かまいたち)の話/ 座敷童の話/ぬらりひょんの話/ 人間の話
<3>音痴なのにミュージシャンををめざす〈鵺(ぬえ)〉、弁護士として働く〈天邪鬼〉、そして〈雪女〉の蓮華。

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ジャンクフード(ハンバーガー)好きの環さん。洸之介くんは表具師の見習い代として期間限定ものを献上しています。
2巻冒頭では、お花見に。せっかくの花見弁当がハンバーガーで台無しにされては、と一計を案じたり。

2巻で出てくる妖怪は「鎌鼬(かまいたち)」とか「座敷童」とか。3巻の「鵺(ぬえ)」なんか、高校生やっているんですよね。んでデビューすべく50年も頑張ってる(;^^)。
環さんなんか500年ですよ。なのに見た目は25歳。
あやかし、ってのはこういうところが面白い。

洸之介くんは2巻で高校3年生になりました。
3巻はそこから半年。環さんと出会ってから1年半、ってところから始まります。

進路を考えないと、というところですが、実は彼、めちゃ堅実な将来を計画しています。

父親が破天荒な画家さんだったので、母一人が苦労している姿を見ており・・・。
彼の学力で入学が可能で、自宅から通えて、学費もそれほど高くないところ。レベルの高い名門大学ではないけれど就職率もそこそこ、って大学ですね。

ところが、環さんと出会い、表具について学び、いろいろな経験を積んで良い社会勉強をしている洸之介。彼はどの道を選ぶのか??

結構面白い本でした。あやかし、古いもの(表具)、若者の青春模様、といろいろ詰まってますので、お好きな角度から楽しんでみて下さい。

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路地裏のあやかしたち―綾櫛横丁加納表具店 行田 尚希

表具(ひょうぐ)とは
布や紙などを張ることによって仕立てられた巻物、掛軸、屏風、襖、衝立、額、画帖など。または、それらを仕立てること。職業としている人を、表具師(ひょうぐし)という。

路地裏のあやかしたち―綾櫛横丁加納表具店 行田 尚希 2013/2/23

読了です。

高校生の小幡洸之介は、画家である父の作品が夜になると動き出すという怪奇現象に悩まされていた。「そうした事件を解決してくれる場所がある」と耳にして訪ねると、そこはいかにも怪しげな日本家屋。
意を決して中へ入った洸之介が目にしたのは、驚くような光景だった。そして彼は、加納環と名乗る、若く美しい女表具師と出会う。

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これもね、何かの書評で見たんだったかな?それとも文庫本の最後に同じ出版社の他の本を紹介しているページで見かけたのか??
わからないけど「あやかし」という言葉に惹かれて借りてみました。

亡くなった父が残した絵。それが夜になると動き出す、って怖いです。
誰に相談したら良いのかも分からない、途方にくれた時に耳にした噂。
この噂を頼りに、真夜中に向かったのは小路にある屋敷。

真夜中に出かける、って怖い、よね?しかも屋敷で目にしたのは・・・。トラウマになりますよ、うん。

それでも知り合った環さんの協力のもと、父親の絵と対峙する。そこには父の想いが詰まっていた・・・。
それが縁で、父親の絵を「表具」しようと環さんに弟子入りする洸之介。
その屋敷には人ならぬ者、妖狐に狸、猫又に雪女・・・が集っていたのです。

表具、って奥が深い!細かく説明してくれているんですが、読んだときは「なるほど」とわかった気になってますが、細かい名前とかすっかり??です(;^^)。
掛け軸や屏風、ふすまに障子と言った「紙にまつわるあらゆる事」に関わるお仕事なんですよね。

作中では「絵」というものは画家さんの心や想いが詰まっているものが多く、時に念に転じる。
古いものの場合、破損した処からその念が漏れ出て周囲に影響を与える。
仕立直し(表具)する事で、その「気」をコントロールする、というのが表具師のお仕事とされています。

環さんが手がけるのはもっぱらこの「気」が強いもの=あやかし専門。
そんな彼女の処にもちこまれるものと関わるうちに、普通の高校生だった洸之介に変化が・・・というお話です。

全3巻。明日は残り2巻のご紹介です。

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はじめまして、本棚荘 紺野キリフキ

「昔はねえ、お家賃というのは本で払ったものですよ」

はじめまして、本棚荘 紺野キリフキ

読了です。

お家賃は、「本」でいただきます? かつては「本」が家賃だったという本棚荘。中にも外にも本棚だらけのそのアパートに引っ越してきた〝わたし〟。だけどそこにいるのはへんてこな住人ばかりで……。

出会ったのは、猫芝居をなりわいとする猫遣い師、本棚に捨てられていたサラリーマンなど、やっぱりへんてこの住人たち。
どこかいびつで、とげを抱えた彼らに触れるうち、〝わたし〟のなかで少しずつ何かが変わり始めて……。

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1979年北海道生まれ。筑波大学卒業。初作家さんです。
図書館で「ツクツク図書館」という本を見かけたことがあって、「そのうち読んでみよう」って思ってはいたんです。
が、それよりこちらの本の書評を読んで、「本棚」というタイトルに反応して借りてみた(;^^)。

昔、「アパート」って大家さんの特徴がよく出てなかったです?
アパートによって個性があって、新旧入り乱れてあった、って感じ(学生の頃ね)。
古いけど広くて安い家賃の処、新しくて狭くて高い家賃の処。
私は通いだったので、アパート暮らしはしてないんですが、学生一人ひとりが「なぜここに住んでいるのか?」と思う位個性豊かで面白かったなぁ。

でも本棚だらけのアパート、ってのはなかったですね、はい。
この本に出てくるアパートは「本が家賃」という割りには住人は本を読む人ではない。
というか、ヘンな人たち過ぎて、訳が分からなくなってきました。
ここまで個性強くなかったし。

読んでいるうちに「この本の落とし所は?どこ??」って悩むだけになっちゃって、それを見つける為だけにページを繰って。
結局「ん?これで終わり?」と煙に巻かれたような感じ。

あぁそうだ、私はこういう本は苦手だったんだ。
1冊読んじゃってから言うのも何だけど、しみじみ思っちゃったのよね。

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名探偵だって恋をする アンソロジー

名探偵だって恋をする アンソロジー 

読了です。

小学生ながらもバリバリの“理系女子”理緒が遭遇した謎と、ちいさな恋(「浮遊惑星ホームバウンド」伊与原新)
骨董店を営む兄と検死官の弟が、ある“遺品”の謎を解く(「ローウェル骨董店の事件簿 秘密の小箱」椹野道流)
事故で演奏できなくなったチェリストは、時空を超えたある場所で、天上の音を演奏する少年と出会う(「空蜘蛛」宮内悠介)など、新鋭作家たちが描く謎とキャラクターの饗宴!!

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今作は、椹野道流先生の作品が収録されている、とのことで読んでみました。
以前紹介した「ローウェル骨董店の事件簿」の番外編です。
上記の他、森晶麿「花酔いロジック」、古野まほろ「消えたロザリオ 聖アリスガワ女学校の事件簿1」の計5篇が収録されています。

「新鋭作家」と書かれてますが、椹野道流先生、新鋭じゃないでっせ。
1996年デビューだもん。「新鋭」って「その分野に新しく現れてきて、勢いが鋭い人」って事でしょ? 新しく、はないよね・・・。

他の作家さんは「伊与原 新,椹野 道流,古野 まほろ,森 晶麿,宮内 悠介」と確かに新鋭かもしれませんが(あ、私が知らないだけ?)

椹野道流先生の作品は安定感あります(^o^)。
骨董店を営む兄と検死官の弟、刑事の幼馴染に、親友の忘れ形見の少年。彼らに持ち込まれたものは日本の「仕組み箱」。からくり箱とも言いますが、仕組みがわからないと開けられない箱に何かが入っている。それを開けたのは、「忘れ形見の少年」。
中から出てきたのはちょっと悲しいエピソード。

それ以外だと「空蜘蛛」は不思議なお話。
夢か現実か、夢の中に居続けたい、でも・・・という葛藤は面白かったですね。
それと「消えたロザリオ」かな。シリーズのアナザーストーリーなのかな?登場人物がややわかりにくかったのですが、謎解きなど展開はオーソドックスで嫌いじゃない。

アンソロジーって作家さんの新規開拓を期待して手に取るんですが、これはそうでもなかったかな(;^^)。

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死香探偵 喜多喜久

死香探偵 尊き死たちは気高く香る 喜多喜久


読了です。

特殊清掃員として働く桜庭潤平は、死者の放つ香りを他の匂いに変換する特殊体質になり困っていた。
そんな時に出会ったのは、颯爽と白衣を翻し現場に現れたイケメン准教授・風間由人。
分析フェチの彼に体質を見抜かれ、強引に助手にスカウトされた潤平は、未解決の殺人現場に連れ出されることになり・・・。

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化学探偵Mr.キュリー」の作家さんの作品です。
ラノベジャンルに近いんだとは思うんですが、なんでこんな「変なもの」を思いつくんだろう・・・。

特殊清掃員について書かれた本は数冊読んだことがありますが、死者の放つ香り(ぢゃない匂いだな)について突き詰めて書いた本なんて初めてだよ~。
嗅いだことない、と思う。

主人公潤平は死者の匂いを変換する特異体質になるだけでなく、匂いでその人がどんな死に方をしたのか分かるようになってしまうんですよね。
それをひょんな事から、大学准教授に知られてしまい、彼の実験材料になる事に。

今作で彼が嗅いで&変換してしまった匂いはこちら。

イントロダクション:炊きたてのご飯の香り
1.交じり合う死は、高貴な和の香り
ココナッツミルク  杉とか松とかの香り、そう上品なカツオダシのような香り
2.君に捧げる死は、甘いお菓子の香り
 バニラアイスクリーム 
3.毒に冒された死は、黙して香らず
 まがいもののアップルパイ
4.裁きがもたらす死は、香ばしき香り
 じっくり燻されたベーコンに似た香り 香ばしくて甘ったるい、そうウィスキーの死香だ。

私こんな風な体質になったら立ち直れない・・・。
食事って大事ですよ。特に「ご飯(白米)」!
ご飯の香りが冒頭からだめになってしまうなんて、それまで大好きだった料理が食べられなくなるなんて・・・。本当に気の毒ですわ。

これシリーズ化してないんですよね。シリーズ化しちゃうと主人公潤平くん、何も食べられなくなりそうだけどね。
それでも最後の方で風間准教授がある救済方法を思いつきます。
でもそれはあくまでも「その場しのぎ」「時間稼ぎ」・・・。
かわいい潤平くんの為にもこの1冊で終わったほうが良いんだろうな、うん。

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オークブリッジ邸の笑わない貴婦人2&3 太田紫織

昨日ご紹介した作品の2巻&3巻を今日はご紹介。

オークブリッジ邸の笑わない貴婦人2: 後輩メイドと窓下のお嬢様

24時間を十九世紀英国式に暮らす、北海道東川町のお屋敷。ここでのメイド生活にも慣れた鈴佳は、今、真夏の悪夢に襲われていた。
暑さのせいだけじゃない。サボり上手な後輩メイドに我儘なお嬢様、その上鈴佳の“罪”を知る昔のご主人様まで現れて……。
川遊び、乗馬、純情な愛の逃避行。 階上(アップステアーズ)で過ごすご主人様の夢を叶えるため、お屋敷の歯車たちは、今日も 階下(ダウンステアー)を駆け回る!

3.オークブリッジ邸の笑わない貴婦人3: 奥様と最後のダンス

奥様、貴方にとって私は、完璧なメイドでしたか?
北海道東川町のお屋敷で営まれる十九世紀英国式の生活。この特別な毎日にも終わりが近づく中、メイドのアイリーンこと派遣家政婦の鈴佳は、奥様が望む舞踏会の実現に奔走する。しかしそれは思いがけず、町ぐるみの盛大な催しへ。
頼みの綱の執事のユーリさんはどこか様子が変で──。
庭の侵入者、秘密のダンス、奥様が遺した最後の謎。お屋敷の歯車達が輝かす「本物」の時間の締めくくり。

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昨日で大筋や19世紀と現代の違いについて軽く書いてますので、今日は内容について。

そもそもなぜこんな生活をしようと奥様が思ったのか?
それは時代と自身の病気のせい。奥様の過ごしてきた時代は女性が人間らしく自己主張できる時代ではなかった、この一言につきます。

残り少ない人生、どう生きるか?やりたくてもできなかった事をするには今しかない、
今の自分にはそれができるだけの財力がある・・・。
何か実現する為には熱意ももちろんですが、やっぱり資本がないと、だね~。

それまで家政婦として働いてきた鈴佳は給料の良さに飛びついた訳で、人を雇う、それも複数。いくら冬の寒くなるまで、と期限を決めてもかなり大変だと思います。
洋服揃えるだけでも一苦労でしょ??
洋服だって今と違うんだもん。Tシャツとジーンズ?おいおい、ですよ。

そこに執事のユーリの弟や妹(あ、ユーリさんは奥様のお孫さんです)も加わるだけでなく、ユーリさんの母親(そう奥様の娘さん)も登場してきてトラブルは後から後から湧いてきます。

あ、階級社会ってのもあったな。
「アップステアーズ=階上の使用人を使う側の世界」
「ダウンステアーズ=階下での使用人の世界」
な訳でして、ここら辺はちょっと前に放映していた「ダウントン・アビー」を見ていた方ならよく分かるのかも。

起きるトラブルは「櫻子さんの足下には死体が埋まっている」ほど大きいものでもないんですが、それでも19世紀の基準にあわせるとすごい大変な出来事なんだろうなぁ。
3巻で完結してくれてよかった~としみじみ。
最後の最後は「うんうん」とついうるっとしてしまうもので、ホッとしましたが、感情をどっちの方向へ動かせば良いのか?鈴佳の気持ち(感情)に沿えない自分がいたりしたので、読み終わったら結構疲れましたね。

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オークブリッジ邸の笑わない貴婦人 太田紫織

東川に屋敷を一軒。19世紀英国の暮らしを送りたい。
東側(イーストリバー) 樽橋様(オークブリッジ) 愛川鈴佳(アイリーン・メイディ)

オークブリッジ邸の笑わない貴婦人 太田紫織



読了です。

愛川鈴佳、21歳。明日から、十九世紀に行ってきます。「完璧なヴィクトリアンメイド募集」――派遣家政婦・愛川鈴佳に舞い込んだ風変りな依頼は、老婦人の生涯の夢のお手伝い。
旭川近郊の美しい町に十九世紀英国を再現したお屋敷で、鈴佳は「メイドのアイリーン」になった。気難しい奥様の注文に、執事のユーリや料理人ミセス・ウィスタリア、農家のスミス夫人たちと応えるうち、新人メイドは奥様の秘密に触れ……。

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櫻子さんの足元には死体が埋まっている」で有名な太田紫織さんの作品です。
本屋さんで見かけて気にはなってたんですよね。

派遣家政婦の仕事をしている鈴佳。彼女に持ち込まれた新しい仕事はなんと「19世紀のヴィクトリアンメイド」だった・・・。

19世紀?英国? 本やドラマ・映画での知識しかない処ですが、それを現代の日本、それも北海道は旭川近郊で実際目にすることになるとは・・・って感じです。
だって、19世紀ですよ?しかもそこで「メイド」をするなんて・・・。考えただけでもう「不便」なのは分かりきってますよね。

実際、19世紀英国を再現したお屋敷。
メイドの寝床は屋根裏部屋。キッチンは地下一階。それだけならまだしも、お風呂は?トイレは?? って想像しますよね?
お風呂はヒップバスと言うのがあったんだそうです。「盥(たらい)」よりやや深めの容器です。そこにお湯を入れて使うんだそうですが、ジャグ(ホットウォーターカン)を持って6往復しないとお湯がたまらない・・・。
当時は髪の毛なんかめったに洗えない、って納得です。

トイレは「チェインバーポット(おまる)」というものだそうですよ(;^^)。
台所だって、ガスやIHって何?の時代。そもそも分量の単位も違う・・・。バター1オンスって??ですよ。

服装だってそうですよね。コルセットに長めのワンピース。コルセットなんてかがむことさえできない!
なのに、生活する奥様は朝起きてナイトドレスからディドレスに、昼食後にアフタヌーンドレス、時には少し早いが夕方用のコルセットのいらないティーガウンで過ごし、夕食前にイブニングドレス。 最低でも一日4着のお着替え。
う~ん、良いですよ?良いですけど、働く使用人にとっては泣きたい。

そんな生活の中、鈴佳と奥様の間に、この生活につきあっている酔狂な執事のユーリや料理人、ご近所の農家の方たちとのふれあいや絆について書かれています。

この作家さんの文章ってそんなに得意ではないんですが、何より19世紀と現代の生活の違いに呆然・困惑する主人公鈴佳の心の動き、と設定とお話の進み方に夢中になって読んでしまいました。

こちらは全3巻とのことなので続けて読んでいきます。

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タマの猫又相談所1&2 天野頌子

猫又、猫股(ねこまた)は、日本の民間伝承や古典の怪談、随筆などにあるネコの妖怪。大別して山の中にいる獣といわれるものと、人家で飼われているネコが年老いて化けるといわれるものの2種類がある・・・。

タマの猫又相談所1&2 天野頌子 

1.花の道は嵐の道  2.逆襲の茶道部

読了です。

「1.」
―うちの理生ときたら、高校生になったというのに、泣き虫で弱虫でこまったもんだ。やれやれ、おれがなんとかしてやるか―。理生の飼い猫タマは、じつは長生きして妖怪化した猫又。流されるままに花道部に入部し、因縁のライバル茶道部との激しい部室争奪戦に巻き込まれてしまった理生・・・。

「2.」
二年生になった理生だが、所属する聖涼学院高校花道部は新入部員の獲得に苦戦。再び女王・鈴木花蓮率いる茶道部に和室を狙われて…。起死回生の策で高校生生け花コンクールに出場した理生たち、結果はいかに!?

**********************************
作者の天野頌子さんは「よろず占い処」シリーズでお馴染みの作家さん。
文体とか結構好きで、シリーズ物に手を出し始めております。
今作は簡単に図書館手配できたので、読んでみました。

「風月流」という華道の家元の息子、理生。偉大な祖父、現家元の父を見て育ったはずが、華道はやってない。ところが受かった高校の華道部が存続の危機に?!
請われて入部してみたが前途多難・・・。

とにかく主人公の理生くんがね~、弱いのよ。草食男子を通り越してますね。
そんな彼が頼るのは飼い猫のタマ、って設定なんですが、う~ん、タマ可愛くない(;^^)。
いやいや猫又になる位だから、猫界では憧れの対象なんですけどね。
いかんせん・・・。

結構どっちも他力本願だったりして(;^^)。
2巻になって多少成長するかしら?と期待してたんですが、それほどでもなく・・・。
高校生になった、二年生になった、とは言えあまり成長が見られない理生に、
猫又になった、とは言えそもそも猫に多大な期待は・・・のタマですから。

どうせなら、一度華道を挫折した理生が実は隠れた才能の持ち主だった!とか
猫又の秘密の何かが!とかの方が楽しめたかなぁ。
華道ってやったことないので、型の説明とかは興味深かったけどね。

今、ドラマでやってる石原さとみさん主演の「高嶺の花」。
お話はそんなに面白い訳ではないですが、出てくるお花はどれも素敵。
家に花を飾る、そんな生活してみたい、とつい思っちゃいます。
どうせなら理生くんもあんな感じで花いけてみないものかしら?と期待。

3巻が出るのかどうか、は?ですが、もし出たらこれも読んじゃうんだろうなぁ、多分。

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メゾン刻の湯 小野美由紀

「あなたがどんな人間だろうと、僕はあなたが好きだ」
「”正しく”なくても ”ふつう”じゃなくても 懸命に僕らは生きていく。 」

メゾン刻の湯 小野美由紀

読了です。

どうしても就職活動をする気になれず、内定のないまま卒業式を迎えたマヒコ。
住むところも危うくなりかけたところを、東京の下町にある築100年の銭湯「刻(とき)の湯」に住もうと幼馴染の蝶子に誘われる。 そこにはマヒコに負けず劣らず”正しい社会”からはみ出した、くせものばかりがいて・・・。

*****************************
下町×銭湯、という面白い組み合わせの作品です。
これは、新聞の書評か何かで見かけたのかな?
初作家さんです。

銭湯、って良いですよね。
幼少時、祖父母家の近くに銭湯があって、盆暮れ正月に集まると大抵銭湯。
孫は十数人いましたのでね。家庭風呂じゃ埒が明かない。
大きくなるにつれ、集まることもなくなりましたが。
大学時代にも学校近くに銭湯があり、何度か行きましたっけ。
そして就職して数年後、一時期都内にいた頃再び銭湯に通って・・・、と間は空いてますが長いつきあいです。

健康ランドとかじゃないのよ、普通の銭湯。
健康ランド等に比べると小さいけど、家庭風呂よりは大きい湯船につかるのは気持ち良かったね。

そんな銭湯下宿に集まったのは個性的な面々。
愛人生活を送るハーフの蝶子。
ある秘密を抱えたプログラマーのゴスピ。
事故で片足を失ったイケメン美容師の龍くん。
ネットベンチャー勤務の上昇志向のまっつん。
「刻の湯」持ち主の老人・戸塚さん。
両親と離れて暮らす事になった戸塚さんの孫・リョータ。
そして「刻の湯」実質的経営者の青年アキラさん。

「生きていてもいいのだろうか」 「この社会に自分の居場所があるのか」 みんなどこか無理をしたり、悩んだり、頑張ったり。
等身大の彼らの中にあなたは自身を見出すかもしれません。

そんな日々が続くかと思われた処に起きる事件など「どこが山場なの~」と若干思う部分もありました(;^^)が、文章も読みやすいし、面白かったです。

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カカノムモノ2 浅葉なつ

「呑むこと以外は、すべて、些事」

カカノムモノ2 浅葉なつ

濁(にご)り人(びと)の死という予期せぬ事態に立ち会った浪崎碧は、心のバランスを崩していた。穢れを呑むのに必要な銅鏡もひび割れたまま、荒(すさ)んだ生活を送る彼の前に現れたのは、一番信頼を置く従兄・涼。
だが彼の振舞いにどこか違和感を抱いた桐島は、鏡を直すべく、碧を連れて鏡師の日名暁溪を訪ねることに。暁溪は碧に理由を告げぬまま、自分の穢れを呑めと要求し・・・

******************************
前作を読んだのが・・・ちょうど1年前ですね。
歳取ってからこっち、時が経つのが早いせいか「おっもう出たのね次」と思ってましたが、衰えつつある脳細胞はしっかり1年分歳を取っており、前作がうろ覚えでした(;^^)。
で、再度借りておきました。

「神さまの御用人」でお馴染み「浅場なつ」先生の作品です。
こちらは、「御用人」ほどおちゃめじゃないんですけどね(;^^)。
やはり主人公が辛気臭いと何となく雰囲気がそうなりますね。

人々の「穢れ(けがれ)」を飲む碧。ただそれだけ。
「ただただ健やかにあれ、健やかに、滞りなく、穢れを加加呑むことこそがお役目」と言われ、育てられてきた。
ところが、前作で思わぬ出来事から、違和感を覚えている碧。

そんな彼に寄り添うカメラマン桐島。彼も一癖も二癖もある男だが、従兄弟の涼よりも碧を心配しており、銅鏡の作り直しにもつきあうことに。
そこで、二人は碧が「穢れを呑む」根っこの部分に触れることになる。

結構小難しいんですよね(;^^)、はっきり言って。
ただ、その理由とか説明が自分には腑に落ちたので面白いんですよ。
あ、でも別の作品(シリーズ)で、「へ?なにこの理由」って腑に落ちないものがあるんですが、そちらもとりあえず続きが気になる、と読み続けていますので、面白くてもなくても読むんですね、私は、きっと。

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以下、ネタバレ的要素(本文中より抜粋)になります。

血を継ぎ、命を継ぎ、記憶を継いで、生きていく。
あれだけ穢れを飲んでいる碧になぜ穢れがたまらないのか?
呑まれた人は記憶や想いだけ碧に残す一方、自身は呑まれたこともその前後の記憶さえなくしてしまう。

記憶を、思い出をもらっていた。僕の中に命を融かそうとしていた。自分が歩んだ、愛しい人生の思い出を。どうか幸せであれ。

せめて、その空虚な殻が、温かなものでみたされるように。穢れとは、穢れでありながら同時に人の感情の一部でもある。人間を人間たらしめる要素のひとつでもある。穢れは記憶であり、記憶は穢れでもある。穢れとはその人の人生の一部でもあるんです。

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