« 自薦 THE どんでん返し1&2 アンソロジー | Main | SRO―警視庁広域捜査専任特別調査室 富樫倫太郎 »

弥栄の烏 阿部智里

最年少で松本清張賞を受賞したデビュー作『烏に単(ひとえ)は似合わない』から5年。累計80万部を突破した「八咫烏シリーズ」第1部完結編。

弥栄の烏 八咫烏シリーズ6 阿部智里

主人公・雪哉の弟が武官訓練所である剄草院に入学準備する場面から始まる。
その実力を認められ、全軍の参謀役にまでなった雪哉、敵対する勢力を抑えて朝廷の実権を掌握した若宮が治める山内を大地震が襲い、開かれた金門の扉の向こうには、山内を恐怖に陥れた「人喰い大猿」が現れた。
ついに始まった、猿と八咫烏の最終決戦。若宮は名前を取り戻し、真の金烏となれるのか。山内は栄えるのか、それとも滅びに向かうのか?

*****************************
以前紹介したのが2017年4月。6月に刊行されたこちらが借りられたのが9月。(あ、予約入れたのが遅かったのもありますが;^^)。

過去記事を見るとだいたい分かると思いますが、3本足の八咫烏の世界「山内」を舞台にしたファンタジーです。
3巻「黄金の烏」で出現した「猿」と5巻の「玉依姫」で出た山神様により、山内の世界が脅かされます。
今作は5巻の「玉依姫」を烏側から観た展開です。

今まで続いた「山内」の平和な日々が根底からくつがえされる事実に打ちのめされ、まどう人々。
そんな中、雪哉はぶれず揺らがず。最後に明らかになった真実にも立ち向かいます。

いやぁ、このシリーズ、結構好きでした。特に雪哉が。
出自の特殊さから、ちょっとひねくれたところ。脳ある鷹はなんとやら、を地で行く彼が、若宮と出会い、変わっていくところ、剄草院で出会う心から信頼できる友人、そして猿との出会いと戦いなどなど。

これでもか、という位の出来事が山内という世界を、雪哉を襲います。
今作でもそれは変わらず、かつ最悪な事態さえも起きてしまいます。
全てが終わった時、うちひしがれる若宮に雪哉は言います。

”認められない、認めたくない、認めるわけにはいかない。 僕は絶望なんかしない。後悔なんてしない。過去を顧みたりなんて、するもんか。 ”

この雪哉の叫びに泣きました。それだけ雪哉の心の中は凍ってしまった、閉じてしまった。彼が心から笑う日はもうこないんじゃないか、と読んでいるこっちが絶望してしまうくらい。

時が経ち、若宮に御子が生まれます。ところが雪哉はご機嫌伺いにも行かない。かたくなまでに目の前の事に固執する彼を明智が引っ張って行きます。
胸に抱いた幼子。その顔を観た瞬間、彼の閉じた心が開き、物語が終わります。

裏表紙にその絵があり(他の方の記事では若宮だとあったのですが、たっぷりとした黒茶の髪は一本に括られ漆黒の羽衣に、赤い佩緒と金の装飾の見事な太刀を佩いている(10P)とあるように、これは雪哉だと思うなぁ)、
良かった、良かった、と手放しでは喜べないのですが、こちらは次がとにかく気になる作品です。

にほんブログ村 本ブログ 書評・レビューへブログランキング・にほんブログ村へ

 

|

« 自薦 THE どんでん返し1&2 アンソロジー | Main | SRO―警視庁広域捜査専任特別調査室 富樫倫太郎 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

大変ご無沙汰しています。

読書本当に全くできてないです。
秋には読書と思って手にしましたが、結局途中で断念してしまいました。

Posted by: nanamama | November 19, 2017 at 02:14 PM

ファンタジー系なんですね。

Posted by: オサムシ | November 17, 2017 at 06:22 AM

Post a comment



(Not displayed with comment.)




TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73907/65845234

Listed below are links to weblogs that reference 弥栄の烏 阿部智里:

« 自薦 THE どんでん返し1&2 アンソロジー | Main | SRO―警視庁広域捜査専任特別調査室 富樫倫太郎 »