« 嗤う闇 | Main | ハワイの土産 »

手紙

そしてもう一冊。東野圭吾原作「手紙」だ。東野圭吾はすごく好きで、誰かの書評で彼の事を知り、古本屋で買ってみた。あまりの面白さに古本屋でほぼ全部そろえた(最近出ているものは新本だけど)。

彼の作品は能天気なくらい明るい作品と、この世の底辺とも言うべき位作品の2種類がある。どちらも好きだしどちらも読んでいるのだが、今回のこの作品は底辺の暗いお話。
我が家は毎日新聞を購読しているのだが、日曜版で連載されていた作品だ。毎週日曜日に読む話にしては暗いなぁ、と思っていたのだが、ついつい読んでしまい、ないてしまった。

弟思いの兄は弟の大学進学の資金つくりの為、肉体労働に手を出すが体を壊してしまう。弟が進学をあきらめてしまうんではないか?早く資金を作って安心させてやらないと、と焦りが正常な判断を奪い、彼は引越しのバイトで一度訪れた老婆の家に盗みに入る。それを老婆に見つかってしまい、彼女を殺してしまう。兄は無期懲役で刑務所に送られ、弟に手紙を書き続ける。
庇護を失った弟は生活の為社会に出るが、世間は冷たい。学生生活も就職先も趣味の音楽も恋人も「殺人犯の弟」の彼は諦めなければならなかった。
そんな彼に「差別のない世界はない、社会のつながりはこつこつと自分で作っていくしかない」と諭す会社社長。そんな彼を見捨てず、つかず離れずで見守る女性。少しずつつながりを作ろうと努力する。
が、娘への差別を知り、弟は兄とのつながりを絶つ。兄もまた弟の今までの苦労を知り、つながりを絶とうとする。本当にそれでいいのだろうか?つながりを絶って得るものはあるのだろうか?

なんかね~辛いですよ。加害者の側にたった作品って今までは犯人の自伝、とか冤罪をはらす為と言った傾向が強かったんだけど、心の底から悔いて悔いて悔やんでも悔やみきれない加害者の気持ちって分からなかったんですよね。またそんな犯罪者を兄に持ってしまった弟、犯罪に走らせた原因が自分だと知った弟の苦労と胸の内。
犯罪という事について考えてしまった。

今、特に理由がなく人を殺すという人がいる。昨日読んだ「嗤う闇」にも出てくる。彼らは自分の身の回りの人間に及ぼす影響、被害者に及ぼす影響を考えていない、感じない、知らない、からそんな事ができるのだ。
又それらのニュースをTVや新聞で知る私たちはすぐ忘れてしまう。次から次へと色々な出来事が起きるからなのだが、世間から忘れられた被害者・加害者・彼らの身内、はお互いを憎む事で事件を忘れようと、事件をいつまでも覚えておこうと治りかけた傷口にできたかさぶたを自分で剥がし(相手に剥がされ)、いつまで経っても治らずに苦しみ続ける。

以前読んだ模倣犯にもそんなくだりがあった。こういった作品を現実感を持たない彼ら、自分と身の回りの人との間に壁を作る彼ら、に読んでもらいたい。

手紙   嗤う闇   模倣犯(1)

|

« 嗤う闇 | Main | ハワイの土産 »

書籍・雑誌」カテゴリの記事

Comments

The comments to this entry are closed.

TrackBack

TrackBack URL for this entry:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/73907/12544818

Listed below are links to weblogs that reference 手紙:

« 嗤う闇 | Main | ハワイの土産 »